「毎日かあさん」

新宿ピカデリーにて。

漫画家のリエコ(小泉今日子)は幼い子供を抱えながら忙しい毎日を送る。
母に同居してもらい手助けしてもらいながら
子供の送り迎えや絵本の読み聞かせやらもドタバタ過ごす。
夫の鴨志田(永瀬正敏)はというと、
戦場カメラマンだった頃の悲惨な経験が元でアルコール依存症となり、吐血を繰り返して入院中。
やんちゃ盛りの息子と口先ばっかりでまるで禁酒の気配がない旦那に振り回されても懸命に、健気に、家族を守る。

やがて家族の為に本気で禁酒を誓うも新たに癌という病気が彼を、家族を襲う。

見捨てる事が出来たら、もっと楽になれたはずなのに。


この話は以前書いた「酔いが醒めたらうちへ帰ろう」の奥さん、西原理恵子側の漫画が原作です。

旦那側からの目線。奥さんからの目線では随分空気感が変わるのは
決して監督、キャストの違いって事ではないと思う。
この「毎日かあさん」は母親としての包む系の愛で満ちている。

かあさんって本当に大変だ。
この生き物には到底かなわんなって思わせるね。
何よりも強い生き物だ。

私的ツボは幼い兄妹がかわいすぎて、
お兄ちゃんが、きちんとお兄ちゃんになっていくっていう成長が
どうにも涙腺を刺激した。
妹の手を握っては離さない、兄ちゃんがたくましくて温かい。

自分にもこんな風に兄と手を握っていた頃があったはずなんだよな。
って思ってしまった。

西原理恵子原作の映画を観るのはこれで3本目ですが
どうにもこの人のはおかしなスイッチ入ってしまう傾向がある。
3本に共通するのがこの幼い子供の健気さと
四国(高知だったり、愛媛だったり)の美しすぎる海。
これはもはやズルい。
泣ける。


この映画の最初に掲げたテーマが
「嘘つき」で
この最大のテーマをこの映画自体がいかしていると思えない。
彼女の漫画のキャラクターはつまりその嘘の一部であったはずではないのかしら。
漫画での嘘の部分と作家としての本当の部分がいまいち曖昧だ。
しかも全てのエピソードの前振りとオチがキチンとしていて
短編漫画のキチッとした起承転結がまんまといちいち組み込まれている。
さらに、アルコール依存症から癌へと病気が切り替わったら追い込みをかけるようにいきなり温度が変わる。
これは何が悪いのかなー。
脚本は原作に気を使いすぎてるのかなって思う。
短編漫画ならいいけど
長編映画ならなんだかしっくりこない。
これではこの若い監督も評価が低いんではないやろか。
ま、私の感想ですけど。


永瀬の迫真の演技も鬼気迫るものがあったし
キョンキョンのオバさんっぷりもよかったし
なによりお兄ちゃんのブサかわいさったら半端ないんだけど

やっぱり別れた夫婦が難しい困難を乗り越えて愛し合った夫婦を演じるってのも
なんだかおかしなものだなーと思ってしまう。

キョンキョンと永瀬の離婚にショックした世代としてはなんだか複雑です。


ちょっと体調不良で観たから
集中力が薄かったような氣がするけど


泣けるんだけど
なんだか微妙かも。(どっちやねん)