「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」

早稲田松竹にて。

1960年半ば頃からこの国の若者は
ベトナム戦争反対、日米安保条約反対、成田空港建設反対、大学学費値上げ反対。
色んな事に反対して暴動が絶えなかった。
学生運動と呼ばれて、自分達の哲学に信念を持ち、
彼らは暴力的に国家に戦いを挑んでいた。

なんだかんだで、東大安田講堂落城以後、この運動には陰りが見え初め、
学生が落ち着いてきたかにみえたが
活動をどんどん過激にしていくグループは派閥を統合して
共産主義への理想をかかげ
革命を起こそうと血を流し、国家権力へ立ち向かう。


この映画は、なんていうか
あの時代、事件の再現映像のようで
事実を淡々となぞっている。

淡々となぞってはいるのだが、事実が現実離れした残虐な行為なだけに
この淡々がそのまま恐怖に繋がる。

この事件はあまりにも有名な事件だからある程度の事は分かっていて
さらに親切にナレーションで解説も入る。
事件の事実が細かく分かるのだが
知りたかったのはもう少し人間崩壊の深層心理であって
そこを読み取るのがやや困難で
新しい事実、発見には至らなかったかもしれない。

山岳軍事訓練中の
「総括」という名のリンチ大量殺人のシーンは
あれよあれよと流れにのってさくさく死んで行く。
観ていると段々恐怖心が薄れていく。
こんな簡単に感覚が麻痺してしまう事が
現実におこった洗脳って事なのかも。

森常夫(地曵豪)が一度は革命運動からの逃亡した事への自責の念からか
瞬きもしないで狭い山小屋の中
「総括しろー!!」って叫びまくってるのが
なんだか段々コッケイに見えて哀れでならない。

先日獄中で病死した永田洋子(並木愛枝)も総括総括って
美人を目の敵にして劣等感丸出しである。

総括って一体なんなんだ。
教えてくれよ。森さん。


最後のあさま山荘での決戦は
山荘の中からのみの画でこれは中々の見応えのあるラストです。
機動隊とガチでやりあうのは予算的に無理だったろうけど
山荘の中からだけであの臨場感はよかったと思う。

今回特に光ったのはリンチされ殺される遠山美枝子を演じた坂井真紀。
とても21才には見えないだろって突っ込みだけは無しとして。
ここの死が一番恐怖を感じた。



革命家達の目線で事実を追った映画ですが
若松孝二が、「一方的に権力者側目線で描いた映画」だと反発してこの作品を撮ったと言われている。
その権力側目線の映画が
「突入せよ! あさま山荘事件
この両サイドから描かれた映画を合わせて観ると
事件の事実はかなり解ると思うのでおススメします。


「俺たちには勇気がなかったんだよ」
最後の決戦地、浅間山荘で未成年戦士が叫ぶ。
なんの勇気?
それは後悔?
暴走を止められなかった後悔かもしれないな。


知りたかったのは
こんな風に狂ってしまった理由のようなものなんだけど
きっと理解できない事なんだって事は解った。

それでも知りたいと思わせるのは
それくらい大きな事件だったって事かしら。